朝日新聞 朝刊

2001.05.01 朝日新聞 朝刊 8面(経済面)

 ビジネススクール卒の企業家へ!    ~お金・知恵「母校」が後押し~  
●5/1 ビジネススクール卒の起業家をお金と知恵で母校が後押し、朝日  大学の知名度アップにも。  
 「ビジネススクール」を卒業したベンチャー企業の経営者を、「母校」の大学が強力に支援し始めた。
そこで身につけた知識を生かそうとする起業家の活躍は、大学にとって知名度アップの絶好の機会となるためだ。
知恵だけでなく、人脈や資金繰りまで手を貸す例も出ている。  「資金はどうやって集めるつもり」「利益の見通しが甘いな」……。
早稲田大大学院の寺本義也教授や柳孝一教授が、次々と質問を投げかける。 「ウエルネス・フロンティア・センター(WFC)」が先月半ば、
東京都内で開いた事業説明会だ。  同社は、新事業の立ち上げを計画する人にアドバイスするコンサルティング会社。
起業プランを持ち込んだベンチャー志望者のために説明会を開催、質疑を通して事業計画の中身を磨いていく。 さらに、見込みがあるとみた
事業に出資もする。  山下正幸社長ら3人の設立メンバーは、00年に早大のビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得した同期生。
40歳前後で大学院に入り直し、寺本教授らに学び、大学院修了と同時に会社を立ち上げた。  山下社長らに対し寺本教授は支援を惜しまない。
安い報酬で事業説明会に参加し、参加者に計画の問題点など指摘、指導する。 同社が今月開講する起業家養成講座の講師役も買って出た。  

●恩師に相談 。  
 「早大の名を広めるよい機会だ」。 寺本教授はこう話す。 早大大学院がビジネススクールとしてMBAコースを開講したのは

「ライバル」慶応大に20年遅れる98年。 出遅れた印象がある上に、一橋大など有力国立大学も次々とビジネススクールを開設。
京都大学も都内に開設の予定で、大学間の競争は激しさを増す一方だ。
産能大学大学院は、出身者のベンチャー企業の経営者に、学校挙げて助言や
経営指導に乗り出す。
先月24日、97年に同校でMBAを取得した藤野靖太郎さんが、同校を訪れた。 藤野氏が設立した「バイロン」は、インターネット上の情報を雑誌など
ほかの媒体に自動的に編集し直すシステムをつくった。 自動車会社や旅行代理店にシステムを貸し出し、広告媒体の編集に使っている。  
藤野さんは、「事業をさらに発展させるにはどうしたらいいか」と、かつての恩師の内藤洋介教授らに相談を持ちかけた 内藤教授らの助言は
「不動産のような高価格の商品の情報を取り上げてみれば」。 会議室の白板に次々とアイデアを書き込みながら、議論を交わした。
 

●現役が応援
 法政大大学院が起業家育成をうたい文句に昨春スタートした講座の特徴は、現役の経営者による「アドバイザリー・ボード」と呼ばれる
起業応援団を組織したこと。 ボード代表の金山和男さんらが、講座出身者のベンチャー経営者に、取引先や増資の引受先をあっせんする。
「会社が軌道に乗るまでに大切なのはカネと人脈。 それを支援していく」と金山さんは話す。  ベンチャー企業の経営に詳しい米倉誠一郎・
一橋大イノベーション研究センター教授は「せっかくビジネススクールを出ても企業に戻ったら大した役割は任されない。 しかし、実際に起業して
経営に携わればその知識は必ず生きる」と指摘。 そんなビジネススクールの魅力を高めるには、出身者が起業家として活躍するのが最も効果的なため
大学側の支援もさらに強まっていきそうだ。  ◆ビジネススクール 。  正式な定義はないが、一線で働く社会人らに実践的な経営理論などを教育する
大学院を指すのが一般的。 78年に慶応大がMBA(経営学修士)コースを開設したのが、国内のビジネススクール第1号と言われている。
90年代に入り、少子化に悩む各大学が「社会人市場」に相次ぎ進出したことで急増した。

  

                        ---新聞記事より抜粋---